[短編]桜が散るかの如く
▼ 逢
私はそれから数日後
また飛び立つことになりました。


「……これがきっと、」


――最後。


私は溢れる涙が止まりませんでした。


「貴様何を泣いている!」


そういって私は先輩に殴られました。


「男のくせにメソメソとするんじゃない!」


―…弱虫なのに。


文子の言葉が不意に思い出されました。

私は本当に弱虫だ。

意気地なしだ。


「申し訳ございませんっ。わたくしは、この大日本帝国の為に飛び立てることが光栄でなりませんっ!
あまりの嬉しさに涙がとまりませんでした」

「そうか。だが、民衆の前に出てから泣くんじゃないぞ!」

「はい」
< 15 / 28 >

この作品をシェア

pagetop