[短編]桜が散るかの如く
「英男くんっ!」

「あ、やこ?」


貴女は涙でいっぱいの目を見開いて
私をじっと見つめていました。


「文子っ」


私は思わず駆け出しました。


「なんでここにいるんですか…」

「手紙、読んでここってわかったから……。死んじゃったんだと思って…」

「あぁ…」

「生きててくれてよかった…」


……文子。
貴女はそういって私をギュッと抱きしめて
小さくそう呟きましたね。


「文子。もう行かなくては。」


貴女に会えただけで
よかった。
話せてよかった。
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