[短編]桜が散るかの如く
「弱虫は卒業か…早くいきなさいよ…」

「はい」

「早く…」

「はい」

「早くっ」

「……文子、離して下さい」


貴女は私を離してくれませんでした。


「いやだっ、離したら行っちゃう…」

「…文子。」

「なんで行くの………」


そんなこと言うんじゃない、と
私はそう言いたかったです。
でも…
言えませんでした。
私はそんなことを言えるほど
強くありませんでしたから。
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