[短編]桜が散るかの如く
貴女の震える肩を私は強く抱きしめました。


「言ってよ…生きたいって。死にたくないって。ねぇ…」

「「そこ!早くせんか!」」

「……時間がありません。」


私はグッと貴女を押しました。


「言ってよ………」

「……」


私は黙って笑いました。
きっと上手く笑えていたはずです。
貴女はこの時代には珍しい考え方でした。
生きろと言うのですから。


「英男くんっ」

「愛してます」

「………っ」


私は笑って貴女に手を振りました。
それから敬礼して私は貴女に言った。


「わたくしの生涯の愛を貴女に注ぎます。いつまでも。」
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