君じゃなきゃ、だめ。



夢の中の私は
いつも決まって泣いてる。

夕方、
公園の砂浜に座り込んで。


『おかあさん…』

そう寂しそうに呟く
まだ6歳の幼い私。


だけど 私に
母と呼べる人は存在しない。




――母は、
あたしがまだ2歳の頃に
蒸発した。



それから父はすぐに
他の女をつくり
今は父、その女、私と
3人で暮らしている。
3歳の頃からずっと、
17歳になった今でも
“家族”として。


『おかあさん、
 琴梨を置いてかないで…』

夢の中の幼い私は
記憶の片隅にいる
母を思い浮かべては
涙を流していた…――



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