ノストラダムスは女子高生
校門からバタバタと
走り寄って来る二つの制服姿
「 リルカ! それにイチル! 」
俺に抱き着くリルカの顔に
悲壮さは無い
「 …せっ 先生!!
学校移っちゃうって、ホントなの?! 」
「 …… え 」
リルカの後ろで
イチルが首を 縦に振る
――… そういう事にしたのか
「 ―― あ、ああ 急な決定でな 」
「 …… 先生!! あ、あの… 」
「 ん? 」
「 …えと、あの… これ… 」
リルカが胸に、抱えていた袋
それをおずおず差し出して来た
「 開けていいのか? 」
リルカは コクリと頷く
スルリと顔を出した
黒い薄手の、暖かい感触
「 …お、 マフラーか 」
「 ほっ…!
ホントは、あの…
バレンタインデーの日に、
チョコと一緒に渡そうと
お、思ったんですけど
勇気、なくって…
でもイチルが!!
―― 今渡さないと、ダメって… 」