ノストラダムスは女子高生
――― 翌日の朝
尋常ではない寒さで目を覚ますと
枕元にある時計についた、
温度計が示すのは零度
いつの間にか帰って来ていた藤本が、
防寒具の固まりみたいになって
白い息を吐き
もうあまり使わないから
キッチンの隅に置いたはずのストーブを
居間に出してセットしている
「 …なんじゃこりゃじゃないですよ
阿部センセ?
だから僕、言ったじゃないですか
彼女には優しくしてくれ って 」
慌ててカーテンを開けると
吹雪だかなんだかもう判らない
ただとにかく、
白い色が斜めに飛んでいくガラス窓の外
ガタガタ震えながらつけたテレビは
なんだかやけに、映りが悪い
自分も半分、
雪に埋まっているリポーターが
完全に機能を停止した駅の前で
"東京を中心とした、
突然の局地的な大寒波"とか叫んでいる
「 … これ… なあ 藤本 」
「 "ガイアとの意識が繋がっている "
その意味
これで理解していただけましたか?
まさにこれが今現在の
青戸リルカの心象風景なんですよ
―― 古い文献によれば、氷河期の到来
アトランティスの崩壊
古代ローマでの大噴火も
全て "貴婦人"達 の嘆きによって
起きた事象だと記されています 」
「 ―― おい "達"って
青戸以外にも、そんな奴いるのか?! 」