太陽のかおり

手のひら



-手のひら-

「柊…帰る?」

創平くん…。

「あ…あの!」

私が椅子から勢いよく立ち上がると、創平くんは不思議そうな顔をした。

「どうしたの?」
「あ…あの…ご…ごめんね」
「え?」
「体育の前。酷い言い方しちゃって」
「ああ、いや、気にしないで」
「本当にごめん。そのせいで体育やる気なくなっちゃったんでしょ?」
「ふっ。柊は馬鹿だなあ。ただかったるかっただけ。柊のせいじゃない」
「本当?」
「ああ、本当。だから、本当に気にしないで」
「ありがとう、創平くん。優しいんだね」
「お世辞はいらねえよ。ほら、帰るぞ」
「うん!」

私は創平くんの横に立って歩き出した。
< 11 / 15 >

この作品をシェア

pagetop