太陽のかおり
「世玲奈ちゃんは?」
「あいつまじ意味わかんねえ。いきなり彼氏から電話きたからごめんとか言いやがって」
世玲奈ちゃん…彼氏いたんだ…。
「なんか俺遊ばれてたみたい。って…どうした?」
泣きたくなんかないのに…。創平くんに泣き顔なんて見られたくないのに…。
「ど…どうした?どっか痛いか?」
私は無言で首を横にふった。
「なんでも…ない」
「なんでもなかったら泣いたりしないだろ…どうした?」
「創平くんに言っても創平くん…困る…」
「おいで」
差し出されたのは創平くんの大きな手。
私はそっと自分の手をかさねて見る。
すると創平くんはすごい力で私を引っ張った。
「きゃあ!」
自転車が音を立てて倒れる。
でも私は創平くんの胸の中にいた。
「創平くん…?」
「ごめん…いきなり…。でも…俺…」
「え?」
「俺…柊の事…好きで…好きで…。でも柊はそんなこと言われたら困るだけだと思うし…」
「そんなことない…私も…わたしも好きだった…。創平くんの事!」
「え?」