太陽のかおり


学校に着いてから教室までは2人で行く。
でも教室に入ってしまえばどちらともなく離れる。
それくらいの関係。
ちょっとさみしいけど、これが現実。

4月半ばになって、学年の女子たちも創平くんに目をつけたみたい。
特に、中学の時から男好きだったって有名な南雲世玲奈[Nagumo Serena]ちゃんは本当にすごい。
ほら、もう教室の前で待ってる。

「あ、創平!おはよう」
「はよっす」
「ねえ、聞いてよ!うちのクラス、今日数学2時間あるんだよ!まじ最悪」
「南雲は数学嫌いなのか?」
「うん、大嫌い!先生も嫌い」
「そっか」
「創平は?」
「数学は別に。俺は体育が嫌いだな」
「え、そうなの?だめだよ、創平。爽やかな少年は、体育好きじゃないと!」
「え?俺爽やかじゃないから、例外だよ、例外」

朝のSHRの時間を知らせるチャイムが鳴る。

「あ、やばっ!それじゃね、創平!」
「ああ」


なんで、私は話の一部始終を聞いちゃうんだろう…。
後悔するのは自分なのになあ…。
あ、創平くんと目があっちゃった。

やっぱり、創平くんは優しい微笑みを向けてくれた。
朝はあれだけ嬉しいと感じていたのに、今はなんだかちょっとむなしい。

SHRでは先生の話なんて全然聞いてなかった。
世玲奈ちゃんと創平くんの事が気になって仕方なかった。
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