I think of you.


「そろそろ暗くなってきたし帰るか」



外を見ると、たしかに暗くなってきている。





でも、本心は“帰りたくない”。



千晴は基本笑わない奴だけど、たまにふっと表情を緩めることがある。




そんな千晴と、もっと一緒にいたかった。






「あ、ほんとだ。帰らなきゃ家族が心配するね」


落ち込んでるのを悟られないように明るくいったつもりだった。

なのに、



「大丈夫か?なんか、元気なくね?」



千晴には全部お見通しだったみたい。




「ううん。ただ、ちょっと…帰りたくないなぁって思っただけ」





ダメだ。


あたし今、ちゃんと笑えてない。



絶対苦笑いだ。


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