I think of you.
──放課後。
せっせと帰る支度をしていると、教室の入り口から「キャアアァァァ!!」という女の子たちの黄色い悲鳴が聞こえてきた。
「千晴サマ!!どうしてうちの教室にいるんですか?」
「別になんでもいいだろ。そこどけ」
「キャアァァ!!かっこよすぎ!」
女の子に囲まれながらやってきたのは、千晴だった。
千晴はあたしに気付くと、ニコッと笑って「奈央」とあたしの名前を呼んだ。
「千晴!早かったね」
「このクラスが遅いんだろ」
「そうなの?よくわかんない」
くすくす笑っていると、一部の女子があたしを睨んでいることに気付いた。
しばらくその子たちと無言のにらみ合いを続けていると、千晴があたしの目の前で手を振ってきた。
「奈央?どうかした?」
「ううん。なんでもないよ。行こっか?」
「あぁ、つき合わせて悪いな」
「全然いいよ。どこ行くの?」
さっきの子たちに見せ付けるように千晴にくっついてみた。
案の定、くやしそうな顔をしている女の子たち。
その子たちにニヤッと笑いかけて、あたしと千晴は学校を出た。