I think of you.


「……ったく、泣いてんじゃねぇよ」



千晴はそんな荒っぽい言葉遣いだったけど、優しく制服の袖であたしの涙を拭いてくれた。


「だってぇ… 千晴が…ヒック… なにも説明してくれないのが悪いんだもん」



嗚咽交じりに、やっとのことでそういうと、急に暖かい体温に包まれた。





あたし、“千晴に抱きしめられてる”






そう理解するのに、時間はかからなかった。


でも、なんで千晴はあたしを抱きしめてくれるの?



さっきまで、くっつくなとかいってたくせに。





「ごめん。ほんとは、さっき奈央がくっついてきたとき、超嬉しかった。あの女たちに見せびらかすためってわかってたけど… それでも嬉しかった」



千晴が抱きしめた体勢のまま、ゆっくり話し出す。




あたしはかばんをドサッと落としてしまったことにも気付かないくらい真剣に聞いていた。


千晴のことが知りたかったから。


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