I think of you.
「俺さ、半年前まで彼女がいたんだ。同い年だけど、違うクラスで。それでも、周りからは“お似合いだ”とかいって、祝福されてた」
「……」
「でも、ちょっと前に… そいつがいじめられてることがわかってさ。俺と付き合ってるから、仲がいいから。理由はいっぱいあった。そいつは俺に何も言わずに、1人で耐えてた」
千晴の声がかすれて、少し震えている。
泣いているのかもしれない。
「……1ヶ月前からそいつ、植物状態で病院にいるんだ。いつ目が覚めるかわからない。てゆうか、目が覚めるかどうかもわからない」
「千晴…」
「突き落とされたんだよ、クラスの奴に」
「もういいよ、千晴」
「あいつも、ナオって名前だった」
ポツリと千晴が呟いた言葉に、あたしは驚きが隠せなかった。
「……え?」
「漢字は違うよ。あいつは日直の直で“直”だった。ごめんな。お前を利用してた。お前も直みたいな目に合わせたくない。だから… もう行け」
ゆっくり体を離した千晴は、今までみたこともないような、優しい笑顔をあたしに向けた。
「千晴…」
ごめんね、千晴。