I think of you.
お兄ちゃんがさした方には、黒髪のきれいな女の人がいた。
「えっと… どちら様ですか?」
あたしがいうと、その人は軽く頭を下げて自己紹介を始めた。
「はじめまして。本居 直(モトイナオ)です」
「本居… 直?」
この人が、千晴の元カノ…
すごく美人で、あたしなんか足元にも及ばないな。
「私のこと、ご存知ですか?」
「なんとなくは…」
「じゃあ、千晴のことも知ってますよね?」
「……はい」
「案内してください」
その子の有無を言わさぬ雰囲気に圧倒されたのかもしれない。
あたしは素直に頷いた。