I think of you.
──ガララ…
教室の扉がいやな音を立てて開く。
一気に視線があたしたちのほうへ集まってきた。
それもそのはず。
今は授業中なのだから。
さっき始業のチャイムが鳴ってしまったけど、「行きましょう」という直さんに逆らえなかった。
「授業中すいません。ちは… 谷村先輩はいますか?」
「俺?」
千晴が驚いた顔であたしを見る。
直さんとお兄ちゃん(何気についてきていた)はあたしの斜め後ろに隠れるようにたっていて気付かないらしい。
「はい。…ダメですか?急用なんです」
「わかった」
そういって席をたった千晴を先生が止めに入る。
「谷村っ! 先生の許可なしに授業抜け出していいと思ってんのか?!」
その先生はかわいそうだけど、お兄ちゃんに相手してもらった。
お兄ちゃんが教室に入ったとたん、女子が黄色い悲鳴を上げる。
当の本人はそんなの気にしてない様子で先生に何か囁いていた。