不器用な恋
好き。嫌い。
あたしの彼氏は、会社員。
会えない、会えない、逢いたい。
啓とあたしが出逢ったのは、駅前のカフェ。
冬の寒い時期であたしが、一目惚れした。
啓に猛アタックして、なんとかOKしてもらえた。
それから、交際スタート。
啓は会社員。あたしは高校生。
大人と子供の恋だった。
仕事が忙しくても、どんなに遅い時間になっても、啓は必ず電話してきた。
『ただいま。起きてた?』
あたしは啓の声が聞けただけで嬉しくて、無言をつらぬく。
なぜかって?
ずっと啓の声を聞いてたいから。
『どうした?泣いてる?』
啓の優しさにあたしは、もっと虜になっていった。
でも、高校生のあたしにとって啓と会えない時間は長かった。
電話もでない、メールも返ってこない。
枕に顔をうずめて泣く。
でも、ケータイは光らない。
啓からの電話はこなかった。
そんなことが一週間、続いた。
忙しいのはわかってる。
でも子供だったあたしは、苛立ちを啓にぶつけた。
啓からは一言、「ごめん」
啓が、好きで好きで、仕方なかった。
あたしを見て欲しい、そう必死だった。
それから啓のメール、電話を無視し続けた。
あたし達の恋は、おわった。
そう確信した。