続・絶対温度-私の定義-
だけど、食い付いたのはマチちゃん一人じゃない。


「聞いちゃいましたよぉ、オトコの子短期で雇うんでしょー」


舌っ足らずな甘い声が後ろから近付いて、大きな瞳をクリクリさせながら小倉さんはあたしの腕に絡みつく。



「はぁ!?ってか、小倉さん、馴れ馴れしい!!」


マチちゃんは小倉さんの腕を振り解いて、子犬みたいにキャンキャンいっている。


「ねー、メンズの目線から、セクシーな下着開発するんですよねぇ」


小倉さんはマチちゃんをフル無視。小悪魔な猫みたいに擦りよる。というか、あなたどこでその情報を。


「まだ、確定した訳じゃないわ」


あたしはメガネを直しながら小倉さんに極冷静に向き直った。だけど小倉さんは例の如くフェミニンに笑う。


「かっこよかったら狙っちゃお」


キャハ、なんて言う小倉さんにマチちゃんは鼻のあたりをピクピクさせている。いや、面白いんだけどね。



< 6 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop