I sing for you

「こんばんわ。」

そう文字を打った。

夕飯で何を食べたか、の話をしていた彼が
この文字を見て、一瞬話を止めた。

その一瞬が、私にはとてもドキドキした。


気づいてほしいような、
気づいてほしくないような、

でも…本音は気づいてほしい!
これが私の気持ちだった。


「…セイラさんだ!!!
 嘘。本当に観に来てくれたんだ。」


顔は見えないし、
彼がどんな顔をしているか、は
分からなかった。

それでも声の抑揚から
私の登場を喜んでいることが分かる。
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