とある女の子の物語



姫が顔をあげると、庭にある塀の外には自分よりもせがたかい男の子がいた。

「なんでため息をついてるんだい?」


また聞かれてしまった。


それでも姫は声を出さなかった。

いや、出せなかった。


目の前の男の子はとてもきれいな人だった。


さらさらな金髪で整った顔。


そして姫にとっては、父親と兄以外ではじめて会う男の人だった。

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