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「え!?西校にしたの千鶴?」
昼休みに同じクラスの友達、宇都宮唯が目を丸くして尋ねた。
それにあたしはウンと頷いた。
「黒崎くんが西校だから?」
「ぇえ?なにも玲二を理由にしなくても……唯がいるからよお」
そう言って唯の背中を叩いてみせるが…
「千鶴、無理しなくていいわ。そっか〜やっぱり黒崎くんとは離れたくないんだね〜」
「違うよ馬鹿!あたしは家から近い高校にして交通費ケチってるの!」
「分かった分かった。千鶴の気持ちは分かったから。友達として西校の入学応援するわ。あ、でも西校なんて千鶴には楽勝か」
絶対分かってない。
あたしは興奮するとすぐ暴言を吐く癖がついていた。
でも唯はこんなあたしと友達だなんて言ってくれてる。
「あたしも、唯のこと応援してるよ」
「黒崎くんの次に、ね」
「もー!」
こうやってジャレ合っていられたのは秋の終わりまでだった。
みんな受験生らしく毎日塾や家庭教師。
あたしに至っては、勉強のストレスで些細な理由にも関わらず親とケンカする日も多かった。
それも、唯と……玲二と西校に合格したいという気持ちが強かったからだ。