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……誰だ。
一番後ろの実験テーブル席で、体を突っ伏している女子生徒がいた。
「誰」
俺は女子生徒に呼びかけた。
すると女子生徒はゆっくりと顔を上げこちらを見た。
なんとも不機嫌そうな、顔見知りがそこにいた。
「……なんだ玲二か」
そしてそいつはまたテーブルに体を突っ伏した。
「お前何してんだ?お前もサボリか千鶴」
立花千鶴。俺の幼なじみでクラスは別だ。
「別に……ちょっと一人になりたかったの」
「何だよ病んでんのか」
「………まぁね…」
俺は千鶴のいるテーブルの上に腰掛けた。
「お前の悩みって何?"勉強できない"とかだったらぶん殴るぞ」
「………………」
「おい、図星か!?」
黙る千鶴に俺は少しばかり焦る。
「アハハ、馬鹿だね玲二は。あたしは勉強できて得したこともなければできなくて損したこともないよ」
ようするに勉強はできるわけでもなくできないわけでもないと言いたいらしい。
しかし実際はできるやつだった。
「じゃあ何だよ」
俺はもう一度問いただした。
「あたし、告られたの」