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「……………まじで?」
千鶴の言葉を理解するのに一瞬疑問が浮かんだがすぐに理解できた。
「玲二と同じクラスの宮下君だよ」
「ぇえまじで!?あいつタメからも後輩からも人気あるじゃん」
「あたしみたいに可愛い子がタイプなんだって〜、アハハ、笑っちゃう」
「可愛いとか何自分で言っちゃってんだよお前」
「だから言ったのは宮下君だよっ。さっきの休み時間にここに呼ばれて、そんで告られたの」
あぁ、だからここにいたのかと納得した。
「付き合わねえの?」
「宮下君と付き合ってからのメリットを考えてみたの。……だけど思いつかない」
「メリットってお前……人気のあるやつと付き合えるってのがメリットなんじゃねえの?」
「あたしはそれをメリットだとは思わない。"人気のある男を私が勝ち取ったの"って鼻にかけてる女は……ロクな女じゃない」
「お前言うねー。まあそういうとこが千鶴らしいな」
「そう?あとは興味が無いかも…。宮下君てサッカー好きなんだよね。そんな男他にいくらでもいるでしょ」
「まあ…そうかもな……お前それ以上言わない方がいいかも」
千鶴の毒舌さに、まさか興味が無いとまで言われていることも知らないであろう宮下のことを考えて、俺は哀れに思い発言を止めた。
このままいくとそのうち人間であることを否定しそうだ…。
「決めた。断る。サンキュー玲二、答えが出た」
俺は別に何もしていない。
ただ千鶴の中で答えが出かけていたときに俺が居合わせただけだ。
このあと千鶴はすぐに宮下に告白を断った。
モテる男にもどうすることのできない女っているんだな。
千鶴はその女の中でも最強かもしれない、と俺は思った。