monochrome
頬に何やら引っ張られる感触を感じ、目を覚ました。
「よ」
「…れ、玲…?」
目の前であたしの頬をつまむ玲二の姿があるのに気付くには、ほんの3秒かかった。
そして館内の時計を見て驚いた。
「さ、3時!?あ、あたしずっとここにいたの!?」
「お、俺に聞かれても……とりあえずぐっすり寝てたぜ」
玲二は苦笑しながら答えた。
あたしはハァと小さな溜め息をついた。
「どうやら3時間寝てたみたい…」
「昨夜寝てねえのか?」
「いや…まぁ…ちょっと遠出してて帰りが遅くなったの。それよりさ、どう?勉強進んでる?」
あたしは玲二に何か勘付かれないよう話を変えた。
それに玲二は普通に答えた。
「やるだけやってる。とりあえず頭悪かった分取り戻せた感じかな。そっちは?まだ第一志望決まってねえの?」
「んー、うん…西校か北校か迷ってる」
あたしは夏休みに入った今でも、第一志望校に迷いがあった。
それは今思えば、原因は玲二だったのかもしれない。
「じゃあ西校来れば?」
「え?」