この声が君に届くとき




瀬川雄治(せがわゆうじ)。15歳。高校一年生。

今日、晴れて高校生になった。

さっきまで僕を襲っていた緊張は、新しい環境に自分がうまく馴染めるかという、初歩的な不安から来たものだった。



そして、僕の隣を歩いているのが、僕の世界の中心で、僕の一番大切な人、樋口美桜(ひぐちみお)。

僕と同じく15歳。

僕らがまだ中学二年生だった時の春、一際目立つ美人転校生としてやって来た。

初めに話しかけたのはもちろん僕だが、それからというもの、どうゆうわけだか、美桜から積極的に僕に話かけて来るようになった。

その光景に誰もが当然のように驚いた。

僕はそれほど周りより容姿や内面が劣っているとは思わないが、あまり目立つタイプの人間ではない。

そんな平々凡々な僕と校内一かわいいと言われる女の子が話しているのだ。

周りが黙っているはずがない。

けど、僕たちはそれからというもの、毎日のように話をし、ある日から当たり前のように付き合い出した。





< 4 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop