彼女には言えない。








「…じゃあ、さ。早速のろけていいかな?」



「え?うん!どうぞどうぞっ」




電話の向こうからは可愛らしい内田さんの声が聞こえて、少しホッとするのと同時に…逢いたいなんて思ってしまう欲張りな自分が居た。




「えーと、初デートの時にね、竜希が…………」




楽しそうに竜希くんの話をしていたけど正直内容はよく聞いていなかった。




「うん」



ただ、相づちを打つ僕と笑いながらのろけ話をする内田さん。




僕との電話で彼女が笑っている。


「それでね、竜希ったら……」


「うん」





内容なんてどうでもいい。
ただ、内田さんと繋がっている。


それだけが嬉しくて。
たまらなく愛しくて。





――今思えば、この電話から始まったんだ、この恋は。


時々する電話とメール。
ほとんどが竜希くんとののろけ話だった。



いつからだろう。
のろけ話を聞いて胸が痛くなり始めたのは。

いつだろう。
これが恋だと気づいたのは。







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