彼女には言えない。
*恋の痛み増す
―――それから、高校3年になった今でも変わらず片想いをしていたりする。
「秋人っ!今日も竜希と勉強会?」
教室で一人教科書を開き、"竜希の受験対策計画"を練っていると、突然、俺のクラスに薫がやって来た。
「勉強会じゃない。いつも言ってんだろ?"竜希が勉強教えてもらう会"な。俺は志望校合格してんだ。本当は真っ直ぐ家帰りたいよ」
そう言うと薫が笑って言った。
「なのに、教えてもらう張本人がいないじゃない」
「本当、なにやってんだか…」
竜希が勉強教えてくれって言うから、放課後付き合ってやってんのに、いつも来るのが遅い。
つか、いつも竜希よりも先に薫が顔を出す。
つか、いつもこの時間は緊張するんだ。
薫と二人。
嬉しいはずなのに、どうすればいいかわからなくて困る。
でも、この時間。
彼女は俺に会いに来てくれたんじゃない。
竜希に会いに来たんだ。