彼女には言えない。





竜希はブツブツ文句を言いながらプリントを解き始めた。



「入試、いつだっけ?」


「…来週の土曜」




そう言うと頭をガリガリ掻きながら、



「あー、わっかんね」



と、小さな声で嘆いていた。
そして、俺は竜希のプリントを覗き込む。




「あぁ、これは、この①の公式に当てはめてやればいいんだよ」



「……あ、そっか」




そう言って、竜希はスラスラと書き進めて行く。


俺はその様子を確認すると、本を鞄から取り出し、しおりの挟んであるページから読み始める。





――――それから、30分が過ぎ……



「お、終わった……」



竜希はそう言うと勢い良く背もたれに寄り掛かり両手を挙げて伸びる。





「ん、お疲れ。どれどれ」





そう言って、本にしおりを挟み、赤ペンを取り出す。







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