彼女には言えない。
本当、単純な奴。
「ほら、こことここ間違ってんぞ」
「え!まぢかよ」
"卒業"
最近、やたら先生とかクラスの奴らが口にするけど、
竜希にあんな顔で口にされると改めて実感しちまうな…
―2時後―
もうすっかり辺りは暗くなっていて、俺と竜希はトボトボと帰っていた。
俺たちは他愛ない話に華を咲かせていたのだが…
「お前ってさ好きな奴いないわけ?」
「は?なに言ってんだ、いきなり」
急に話が切り替わる。
俺はその話題を笑いながら受け流したかった。
のだが…
「いるだろ?好きな奴の一人や二人。高校生活で誰一人好きな奴がいないってわけねぇよな?」
竜希はやたらその話題をつついてくる。