彼女には言えない。
―――ツーッツーッ……
まだ薫の元気な声がまだ耳に残る。
「はぁ…」
ため息をして頭を抱えながらずるずるとその場にしゃがみ込む。
「やっぱ慣れねぇな…電話」
やっぱ可愛いな、アイツ。
『秋人もいれば楽しいと思ったから誘ったんだよ?』
本当…好きだわ。
なんて実感してしまうと
妙に恥ずかしくて。
でも、薫の言葉が離れなくて。
どんな顔して電話してんだろ、とか考えると逢いたくなって。
「……くそぉぉおぉお」
この気持ちを伝えたくなる。