彼女には言えない。
でも、薫はいつもみたいに
話そうとはしなかった。
俺も俺に触れてる薫の手に変な緊張してるし。
てか、さっき普通に俺から手引いてたけど、
薫からだとなんか、なんか、あぁぁあぁー!!
って感じ。
それに、実は家に女の人入れるの初めてだし。
何すればいいかわかんねぇ。
本当、俺ヘタレだよな。
あー!まじで俺バカ。
「ぐすっ…秋人」
突然、薫が俺を呼ぶ。
「ん?どした?」
なんて言うけど、
本当はこんな近距離で
薫に上目遣いされて、
ドキドキしてんだよ。
「あのね、今日ね…」
そう言ってやっといつもみたいに話だした。
竜希の話を。
「なんで竜希ってモテるのかな?彼女が隣にいるのに知らない女にナンパされてんのよ!竜希もヘラヘラしてて…」
薫が少し落ち着いて
いつもの調子に戻った。