彼女には言えない。
「ねぇ竜希ー、そろそろ降りたほうがいいよね?先生にニケツまた怒られるよ?」
そう言いながら竜希くんの後ろに乗っていた彼女が自転車から降りる。
「おぉ!じゃあ三人で行こうぜ」
「え…いや、でも僕勉強が…」
そう言うと、竜希くんの彼女が僕の腕に自分の腕を絡めてくる。
「勉強なんていいじゃん、一緒に行こ?」
竜希くんの彼女、
内田 薫(ウチダ カオリ)
竜希くんとは中学から一緒で付き合って半年らしい。
「おい、離れろ」
竜希くんは僕を睨み付ける。
「え…絡まりついてきたのは内田さんからなんだけど…」
竜希くん。
その目、やめてよ。
怖すぎるから。