彼女には言えない。
屋上に着くと、
そこに薫がいた。
て…なんで!?
「薫に呼ばれてたんだよ」
と、小声で竜希が言った。
もっと早く言えよと言った顔で竜希を見る。
すると、
「なんで秋人までいるの?」
薫が口を開く。
あきらかに怒った顔をしていた。
そんな薫に珍しく怯んでいる竜希の姿。
カップルって大変なんだ
と実感する俺。
あー、もおわけがわからん。
「秋は暇そうにしてたから…連れてきてやったんだ」
何言ってんだ。
竜希が無理矢理引きずって来たんだろ。
「…ま、なんでもいいわ」
そう言うと薫は俺の方を見た。
ちょっと薫さん?
怖いんですけど。
めっちゃ怖いんですけど。
俺、邪魔?
わかってるけどね。
竜希が連れてきたんだよ?
俺だって今すぐ逃げ出したいくらい居心地悪いんだよ。
そんな顔で俺を見るなよ。