彼女には言えない。
その姿に俺は胸が苦しくなった。
俺の好きな人。
それは、友達の大切な人。
俺の好きな人。
それは、竜希をこんな顔にさせてしまう存在。
俺は、俺はさ…
「俺、今までお前には言ってなかったけど、薫の竜希に対する不安とか悩みとか聞いてきた」
「え?」
俺の発言に驚いた顔をする竜希。
「なんで……お前にはなんでも話して…」
とても悔しそうに
竜希は途切れ途切れに話す。
「俺には…」
歯をくいしばっても
竜希の目から落ちる涙は
止まらない。
俺は、俺はさ。
薫を好きになった時から、ずっと……
竜希のことが、
羨ましいよ。