彼女には言えない。
本当は、俺だって泣きそうなんだ。
なんで?なんて聞かないでくれ。
きっと答えられそうにないから。
どの恋が本物でどの恋が偽物かなんて俺にはわからないけどさ。
自分の想い続けてきたこの恋だけは本物だって信じてきたよ。
でもさ……
「お前にいろいろ話さないのはきっと……お前が、さ…彼氏だからだろ」
コイツらの恋も本物のような気がしてきちまうからよ。
だからかな…
俺がこんなに涙を堪えるはめになってんのは。
「薫から聞いてたのは不安とか悩みだけじゃねぇ。のろけもお願いも…全部全部聞いてきたさ」
でも、それは。
「でも、それは…さ。俺が…」
俺が……
「友達だからだろ」