彼女には言えない。





中学の時は竜希くんみたいな人は結構苦手なタイプだった。



クラスでも男女関係なく人気があって盛り上げ役みたいな存在の人ってどの学校にも必ずいる。



でも僕は教室の端っこで休み時間にも勉強したり読書してたりする目立たない人だから、



竜希くんみたいな人とは
正直、どう接すればいいかわからなかった。





でも、入学式の日。
生まれて初めて寝坊して
息をきらして学校まで走っている僕に声をかけてくれた。



「ねぇ、そこの人!もしかして寝坊した?」




自転車に乗って後ろから現れた僕と同じ制服を着た男の子。


それが竜希くんだった。


最初はかつあげでもされるんじゃないかって思った。



けど..




「俺も寝坊!お前急いでんだったら後ろ乗せてやろうか?」



頬にえくぼを作り
優しく笑う彼に、


少し気持ちが暖かくなる。



「あ、いや大丈夫。ありがとう」




丁寧に断って一歩踏み出した時持っていた鞄を奪われる。



そして、自転車のカゴに乗せ、竜希くんは言った。




「いいから乗れ、初っぱなから遅刻はいやだろ?」









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