彼女には言えない。
それでも、やっぱり。
薫の笑顔が浮かんだ後には竜希の笑顔も浮かぶから。
その笑顔を自分のせいで消えてしまうのが怖くて。
「…ちきしょ」
答えなんて解らないまま。
ただ、ひたすら
何かを求めて手を伸ばしていただけなんだ。
薫が好き。
気持ちははっきりしているのに。
気持ちがはっきりしているからこそ、
苦しくて。
まだ、頭の中では
さっきの曲が何度もリピートされている。
俺はどうすればいい。
俺は、どうすればいいんだよ。