彼女には言えない。
でも、放課後の
誰も居ない教室を見ると
急に寂しくなって、
一人教室を出て
屋上に向かった。
「あと…1週間か」
長いようで短かった3年。
「どーせ俺なんかずっと勉強して、特に楽しい思い出も作らず卒業…って思ってたけど」
その想像は
入学式の日に竜希に
出会った時点で崩れ、
そして、薫を…
「好きになった時点でも崩れてんな」
毎日、楽しすぎてそう簡単に忘れられそうにないくらい濃い学生生活を送ってきたよ。
竜希と薫のおかけでな。
卒業までにやり残したことはもう無さそうだ。
「おぉ!いたいた」
突然、屋上のドアが開き竜希が入って来た。
「…あったな」
やり残したこと、一つ。
俺はまだ、片想いのまま。