彼女には言えない。
涙を拭いて歯を喰い縛る。
男のくせに泣くなんて
いつまで経っても
俺は情けない奴だって思った。
「…恋愛って難しいよな」
竜希がそっと静かに呟くようにそう言った。
「俺さ、普段口にしないから薫には不安にさせたり、時々喧嘩したりするけどさ…」
そこまで言うと
竜希はまっすぐ俺の目を見て言った。
「俺、アイツのことめっちゃ好きだ」
俺の心臓はドクンと音をたてて跳ね上がる。
「恋愛って難しいけどさ…」
その時の、竜希の幸せそうな笑顔を俺は…
一生忘れることは出来ないだろう。
「恋をした男は強くなる…好きになった人を守るために」
「強く…か」
俺がボソッと呟くと
竜希は宣言するかのように大きな声で叫んだ。
「ずっと守ってやる。ずっと、ずっと!!」
そして、俺の背中をポンッと叩いた。
「ほら、お前も溜まってるもん叫んでみろ」