彼女には言えない。
「泣きたい時は泣け、俺はお前が泣いてても馬鹿にしたりなんかしねぇよ」
泣いてる俺に背を向けてそう言った。
「だって、俺ら親友だろ」
竜希は俺が落ち込んでたり
悩んだ時、いつも傍で励ましてくれた。
入学式の日。
竜希に出会ったあの日だって、遅刻しそうで困ってる俺と一緒に学校まで行ってくれた。
竜希は誰よりも大切な
親友なんだ。
「…ありがとな」
どうして、今まで
気付かなかったんだろう。
いつも、竜希は傍で
笑っていたのに。
どうして、そんな大事なことに今更、気付いたんだろう。