彼女には言えない。
*恋にさよなら
そして、とうとう
卒業する日が来た。
「卒業生、起立、」
卒業証書が授与されて、
「礼!」
先生の指示で
皆一斉に頭を下げる。
竜希は唇を噛んで
涙を堪えていた。
薫はヒクヒクと
音をたてながら子供みたいに泣いている。
俺は…泣かなかった。
泣くのはこの後だ。
ずっと好きだった彼女に、
「さよなら」を言うんだから。