彼女には言えない。






帰り道。



まだ桜の花を咲かせていない
木を見ながら思い出す。




入学したばかりの頃のことを。




新しい制服を着て
新しい教科書を開き
満開の桜の下を歩き
高校生を実感する。


かけているメガネを
クイッとあげて
勉強しながら登校して。




でも、いつも
途中から薫を後ろに乗せて自転車を漕いでいる竜希に会って勉強の邪魔をされる。




そんな毎日の登校が楽しくて、いつの間にか登校中の勉強スタイルは崩されていた。






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