桜、咲く頃会いましょう。
うとうとしていたらすっとふすまの開く音がした
こんな時間に誰だろう?
体を起こして振り向くと
そこには今いるはずのない人
「ひじ、かた…さん?」
「わりぃ起こしちまったか?」
なんで土方さんが?
頭がついていかない…
「何て顔してんだよ?」
「だ、だって明日帰ってくるんじゃ?」
「その予定だったんだがな…何だか寂しくて…」
土方さんが寂しい?
私とおんなじ気持ち…
「お帰りなさい、土方さん」
「あぁただいま」
私は少しだけ怖かったのかもしれない
江戸に行くと言って出掛けていった父様と母様は帰っては来てくれなかったから
ただいまという言葉がこんなに安心をくれる言葉だということを初めて知った
「お前はもう寝ろ?俺は近藤さんの所に…」
「………一緒に、いて…下さい…」
「は…?」
「私も寂しかったんです…」