桜、咲く頃会いましょう。


最近山南さんの心からの笑顔を見ていない



暖かくて優しくて包み込んでくれるようなあの笑顔を




「もうすぐ椿の季節ですかね?」

「そうですね、平松さんは椿が好きなのですか?」

「はい!花が好きなんです!」

「私は…椿は苦手な花です」

「え…?」

「椿の花はぽとりと落ちるでしょう?私もいつかそんな風に死んでしまうんではないかと思ってしまうんです」



遠くを見つめたまま私と目を合わせず話す山南さん




まるで自分の死が近いことを察するように



「そんなこと言わないでください!!」

「!」

「山南さんがいなくなってしまったら誰が山南さんの代わりになるんですか!?」

「…伊東さんがいるではないですか…?」

「!!」



とても冷たい目で私を一瞥したあとふすまを開けて部屋を出ていってしまった


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