桜、咲く頃会いましょう。


恐る恐るはいった山南さんの部屋



中に居た山南さんはどこかスッキリした顔をしていた



「あの後大丈夫だったか?」

「えぇ、取り乱してしまってすみません」

「あぁ…それはいいんだが…」



先ほど角屋で見たような切なげな顔はどこにもなかった



それどころか穏やかな笑顔さえも見せて話す




「今日はもう遅いです。土方くんも早くお休みになっては?」

「あ、あぁ…そうだな…」

「平松さんもきっと心配してますよ?」

「そうだ、な…じゃあ俺は部屋に戻るな?」

「はい、お休みなさい」

「おやすみ」



山南さんの部屋を出るとき嫌に目についたのは



机の上に乗った墨の付いた筆


それと書きかけの文のような…



何故か耳に焼き付いて離れない角屋でのあの言葉



その日の夜はなかなか眠ることが出来なかった


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