桜、咲く頃会いましょう。


「どこか悪いところは…?」



そう聞いたら沖田さんはひどく悲しそうな顔をした




「沖田さん?」

「あ、うん…そうだね……ただの、流行り風邪だって。だから君が心配するようなことはないよ?」

「そう、ですか?」




沖田さんはそう言っているけれど私は風邪だなんて納得できない



風邪はあんなに酷い咳が出るの?



「あの、でも…」

「早くしないと夕餉の時間に間に合わないよ?」

「はい…」



優しい問いかけに反し沖田さんの目はこれ以上聞くなという目をしている




それからは居心地の悪い沈黙だけが漂っていた




屯所に着くと土方さんが私たちを迎えてくれた



「総司と一緒だったのか…」

「あ、いや…これは…」

「土方さんがそんなんだと桜子ちゃんに愛想尽かされちゃいますよ?」

「なんだと?」




ギロッとした目で土方さんは沖田さんを睨んだ


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