桜、咲く頃会いましょう。


その後も洗濯物を干していると廊下を幹部の人達が慌ただしく駆けていく



何か急ぎの会議でもあるのかな?




ようやく洗濯物を干し終わった頃、中庭に一つの影ができた



「あれ?平助くん?」

「おっと…なんだ、さくらか…びっくりさせんなよな…」

「ご、ごめんね?でも何でここに?」



平助くんも幹部の一人だから




みんなが広間の方に向かっていたのに平助くんが行かないのはおかしい




「皆さん広間へ向かっていたけど、平助くんはいいの?」

「あぁ…俺はいいや…」




小さく一言そう呟いた平助くんの顔はいつもの太陽のような笑顔ではなかった



何かに悩んでいるようでどうしたのなんて軽々しく聞けない




しばらく沈黙が続いたあと、平助くんが小さく話し始めた



「皆も聞いてる頃だからさ、お前も聞いてくれよ」



それは今にも消えてしまうような儚い声で


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