桜、咲く頃会いましょう。


すまないなと永倉さんは呟いて、自分よりも少しばかり背丈が高い原田さんを担いで広間を出ていった



二人を見送った後土方さんは自分のお猪口にお酒を注いだ



「あの、私注ぎますよ?」

「頼む」



徳利を受け取り土方さんが少しだけ傾けたお猪口に注ぐ



手元を見つめる土方さんの顔が少しだけ寂しそうなのは気のせいじゃないと思う




「お前も飲むか?」

「いえ、私は…」



以前にお酒を飲んだとき酔って土方さんに迷惑をかけたから…



そもそも、私はそのときの記憶がない



自分の記憶は残ってないのに相手に迷惑をかけてしまったことが申し訳なくて…



「今日くらい飲めよ。酔ったら俺が部屋につれてくから」



頼むように言われたら断れないことを土方さんは知っているんだ



「では少しだけ…」



一口飲んだだけでクラクラする


暫くすると頭がボーッとする感覚に襲われた



意識を手放す直前急に切なくなって土方さんに寄り添った


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