桜、咲く頃会いましょう。
誰も口を開こうとしない
恐らく考えていることはみんな同じだろう
「平助。平助はどうするんだ?なぁ!?」
「左之、落ち着け」
「新八は何とも思わないのかよ?」
「そうとは言ってないだろ!」
言い争いを始めた二人を止めないのは、そこが俺たちの一番の懸念だったからだ
このままいったら俺たちと伊藤さんの衝突は避けられない
殺るか殺られるか
今ここで倒れるわけには行かないんだ
議論が行き詰まって誰も何も喋らなくなった頃突然部屋のふすまが開いた
「皆さん、ここに居たんですか?お茶要りますか?」
今まで張り詰めていた空気がその桜子の一言で少しだけ緩んだ気がした
「あぁ悪いな、頼む」
「お安いご用ですよ」
張り切った声でそう言った桜子は小走りに部屋を出ていった
「土方さん、この話はまたあとで」
「確かに総司の言う通りだな。サクラにこの話は聞かせられない」
そう言うのは桜子が大切な仲間だから
女だからなどと言う理由で はなく人一倍傷つくあいつを守りたいから
それほどまでにあいつは俺たちの中で大きな存在になったんだ