好きになってもいいですか
教室では、担任の寺岡先生がいろんな話をしている。クラスの生徒は、しゃべりながらも話を聞いていた。でも、あの女の子だけは、ずっと外を向いたままだった。

すると、寺岡先生が

「あっ、みんなもう気付いていると思うが、このクラスに新しい仲間が加わることになった。おい、星野。ちょっと前にきてくれ」

すると

「はい」

と一応返事をし、ゆっくり前に行った。

「じゃ、一言いいかな」

「いわなきゃいけないんですか」

「まっ、無理にとはいわないがな」

「星野ゆかりです。よろしくお願いします」

「ほら、拍手!」

そう促されて、まわりも拍手をした。その間、彼女はどこを見るわけでもなく、下をずっと見ていた。

(なんか変わった感じかな) 

まわりからは、

「意外とかわいくね」
「携帯教えて〜」

とか声がかかっていた。確かにあかぬけていて、今どきって感じの顔立ちだった。

あいさつがおわり、席につくと早速、まわりの男子にいろいろ聞かれていた。

それでもずっと彼女は外を見ていた。彼女から、まわりとはかかわりたくないというオーラがでていた。

(なにも話をしないんだ。変わってるなあ)

僕はそう感じるだけだった。
変わった新入生も加わり、新しい1年が始まった。
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